等式・不等式の証明,相加平均と相乗平均の大小関係…
そんな証明の後に学ぶであろう"複素数"
証明の後なので,ついつい の大きさを考えてしまいたくなる。という方も多いのではないでしょうか。
結論から言ってしまうと虚数 は大きさを持たない(正の数でも負の数でもない)ため、大小関係を考えません。
今回はなぜ虚数 は大きさを持たないのか、について考えてみます。
そもそも ってどんな数?
2 乗して -1 になる数を で表す。つまり
とする。とくに と定める。
って正の数?負の数?それとも...
虚数 が大きさを持たないことを、背理法を用いて簡単に示してみます。
① > 0 と仮定する。
> 0 の両辺に をかけると
(正の数をかけているので不等号の向きは変わらない。)
> 0 となるが,これは であることに矛盾する。
よって は正の数ではない。
② > 0 と仮定する。
< 0 の両辺に をかけると
(負の数をかけているので不等号の向きが逆になる。)
> 0 となるが,これも であることと矛盾する。
よって は負の数ではない。
③ と仮定する。
の両辺に をかけると
となるが,これも であることと矛盾する。
よって は 0 ではない。
①~③より, は正の数,負の数,0のいずれでもないことが分かる。
( については大小関係を考えない。)
まとめ
いかがでしたか?
今まで考えてきた大小関係はあくまでも実数の中で比べていたものであって,複素数の範囲では大小関係そのものが考えられないとがあると知っておくと,証明の際に実数であることを述べる大切さに気がつくのではないでしょうか。